各年度の調査内容とその目的については表１−２−３−１に示した。

表１−２−３−１　調査内容と主な目的

平成９年度の調査は、角田（１９８３）が青梅市藤橋での調査で示して最新活動時期の精度を上げる目的で、湖沼堆積物の年代をしぼりこみ、断層活動との関係を検討することを目的に、同地点でボーリング調査および、トレンチ調査を実施した。さらに、立川断層の地下構造を明らかにすることを目的に、瑞穂町箱根ヶ崎で地質調査ボーリングと武蔵村山市三ツ木と立川市泉町で反射法弾性波探査を実施した。

平成１０年度は、霞川沿いでの平成９年度の断層上流側の地下地質と比較する目的で、断層の下流側でのトレンチの壁面を観察した。

次に青梅市今井地区や武蔵村山市三ツ木地区では、断層を挟んで深層ボーリングを実施し、地層の対比にもとづき変位基準面を求め、活動の履歴を検討した。また、瑞穂町箱根ヶ崎地区では、立川断層の活動によって堆積した堆積物の詳細な観察を行い、地震活動の痕跡を求めた。

立川断層の南側の地域での断層の活動履歴等を把握するために、国立市谷保地区でボーリング調査及びトレンチ調査を実施した。国立市谷保地区での調査は、現在の矢川が立川断層の変位地形に沿って青柳面上を南東に流下していることから、この流路変化は立川断層の活動後に生じたという仮説の検証を目的とした。このため、現在の矢川の上流域、矢川中流域（すなわち立川断層周辺）、および旧矢川流域で堆積物の層相の違いとその堆積年代を調べた。