5−3 今後の課題

平成9年度の調査から明らかとなった、讃岐山脈南縁の中央構造線活断層系に関する今後の課題は次のとおりである。

1) 平野部伏在断層の詳細な位置の把握

空中写真判読、既存ボーリング資料の収集、反射法弾性波探査などから、平野部伏在断層の位置は概略把握できた。しかし、伏在断層は北側に傾斜した逆断層であり、断層の性状から正確な位置を把握することは難しい。本断層は鳴門市や徳島市の人口密集地近隣に分布しており、断層の正確な位置を把握することは地震防災上重要である。浅層反射法弾性波探査やボーリング調査により断層位置を確認する必要がある。

2) 平野部伏在断層・鳴門断層の最新活動時期・平均活動間隔の把握

神田断層と父尾断層についてはこれまでトレンチ掘削調査が実施されており、1596年の慶長近畿の地震で活動した可能性が高いといわれている。しかし、平野部伏在断層や鳴門断層については古地震の記録はあるものの、トレンチ掘削調査により活動履歴は解明されていない。

伏在断層は沖積低地に断層変位地形がみられ、また、大麻町から西の鳴門断層には沖積扇状地に断層変位地形がみられる。これらのことから、両断層はごく最近(少なくとも数1,000年以内)活動した可能性が高い。トレンチ掘削調査により最新活動時期や活動間隔を把握する必要がある。

3) 三野断層・池田断層の最新活動時期・平均活動間隔の把握

三野断層と池田断層についてもトレンチ掘削調査を行い、最新活動時期や活動間隔を把握し、地震防災に役立てるとともに、中央構造線活断層系のセグメント区分を考える上での資料とすることが望ましい。

4) 大麻町〜撫養町の鳴門断層の活動性把握

大麻町から撫養町にかけての鳴門断層は断層変位地形が明瞭でなく、活動的な断層ではないと考えられる。しかし、その活動性については未解明な点が多い。これからも継続して既存ボーリング資料の収集等を行い、活動性を評価する必要がある。