5−1−6 三野断層

美馬町坊僧から三野町芝生に至る延長13.5kmの断層である。断層変位地形として、美馬町坊僧における段丘面の向斜構造、池ノ浦の断層池や河谷の右ずれ屈曲、三野町加茂野宮での沖積扇状地上の低断層崖がある(岡田,1970,1977)。また、三野町芝生では断層露頭がある(岡田・堤,1990)。

三野町加茂野宮の低断層崖は、米軍の4万分の1空中写真では植生の急変部とされていた(岡田,1970,1977)が、今回1974年撮影のカラー空中写真で判読すると、比高1〜2mの2本の低断層崖で囲まれた凹地が約500mの長さで存在することが明らかになった。

また、美馬町東荒川の山麓部や低位段丘2面上に低断層崖と考えられる地形が新たに見いだされた。この地形については今後検討が必要である。

三野町芝生では三野断層の断層露頭が指摘されていたが、切土法面に新しい断層露頭が出現している。ここでは、結晶片岩破砕帯を取り込んだ和泉層群破砕帯と、さらにこれを切る断層がみられる。この断層の南側は和泉層群破砕帯を含む角礫層や地すべり性の和泉層群からなる。

三野町太刀野と芝生との間の、河内谷川沖積扇状地での既存ボーリング資料では、沖積扇状地礫層の下は和泉層群基盤であり、さらにその下位に礫層が分布している。既存ボーリング沿いに礫層を切る断層が推定される。また、低位段丘2面上のボーリングでは、最上部の礫層が約7.2m変位している(図5−1−8図5−1−9)。

これらのことから、太刀野山の低断層崖をとおる断層は、河内谷川の沖積扇状地から芝生の断層露頭に連続していると推定される。