5−1−3 鳴門断層(大麻町〜板野町)

鳴門市大麻町から西側では沖積扇状地上での断層変位地形が明瞭である。図5−1−6の詳細地形図に示すように、大麻町板東では沖積扇状地上に高さ3〜4mの明瞭な低断層崖がみられる。断層から上流側の扇状地面は北側に逆傾斜している。板野町大寺の板野東小学校付近(図5−1−7)や羅漢地蔵寺、上板町の神宅付近でも沖積扇状地上に低断層崖がみられる。

板野町川端北側では、空中写真判読により鳴門断層から分岐する断層が推定されているが、その延長線上で中位段丘礫層を変位させる露頭を確認した。

板野町犬伏の既存ボーリング資料では、断層から南東側で基盤の深度が深くなっている。

大麻町から西側の鳴門断層は、沖積扇状地上の断層変位地形が明瞭であり、極めて新しい時期(少なくとも数1,000年以降)に活動した可能性が高い。また、水野・岡田ほか(1993)による中央構造線活断層系(四国地域)ストリップマップでは、上板町神宅の沖積扇状地を境として西側の神田断層と東側の鳴門断層を区分していた。今回の空中写真判読では、神田断層東端にある沖積扇状地上の逆向き低断層崖は東側の沖積扇状地上に連続し、神宅北側で比高数m低断層崖をなしていることが明らかとなった。このことから、鳴門断層と神田断層は一連の断層と考えられる。