(5)平均変位量

讃岐山脈南縁の中央構造線活断層系の平均変位量は次のようにいわれている。

父尾断層の平均変位量は、市場町上喜来の段丘崖の右ずれ変位などから水平変位量は6m/1000年、垂直変位量は0.5〜0.6m/1000年といわれている(岡田,1970)。また、市場町上喜来トレンチの東側では、旧流路と考えられる溝状の凹地や小道−畦が6m〜12m右ずれ変位しており、1回の断層運動による水平変位量は6m程度と考えられている(Tsutsumi and Okada,1996;岡田・堤,1997)。

三野断層については、池ノ浦〜僧坊での河川の系統的な右ずれ屈曲などから、水平変位量は8〜9m/1000年といわれている(岡田,1970)。

池田断層は、東州津での河谷の屈曲や段丘面上の低断層崖の変位量、池田町市街地西方での段丘崖の変位量などから、水平変位量は5〜7m/1000年といわれている(岡田,1968)。

これらのことから、讃岐山脈南縁における中央構造線活断層系の平均変位量は、水平変位量は5〜10m/1000年で、垂直変位量はその1/10程度である(岡田,1992;Tsutsumi and Okada,1996)。