2−2−1 最新活動時期・活動間隔の把握

四国地方の中央構造線活断層系については、既に縮尺2万5千分の1ストリップマップが作成されており(水野・岡田ほか,1993)、神田断層、父尾断層についてはトレンチ掘削調査が実施されている(岡田ほか,1993a,1993b;岡田・堤,1997)。

古地震の記録によると、1596年慶長近畿の地震で鳴門市高島付近が隆起したといわれている(石橋,1989)。また、中央構造線周辺の遺跡の発掘調査では、16世紀に生じた液状化による地震跡が認められる(寒川ほか,1990,1991;寒川,1991,1992)。

トレンチ掘削調査によると、神田断層はアカホヤ火山灰降灰以後4回活動し、最新の活動は中世の土器包含層を切っている。父尾断層は弥生時代以後2回の断層活動が認められ、16世紀頃の土器片を含む地層の落ち込みがみられる。

これらのことから、神田断層と父尾断層は1596年慶長近畿地震で活動した可能性が高いといわれている(岡田ほか,1991;Tsutsumi and Okada,1996)。しかし、鳴門断層については古地震の記録はあるものの、最新の活動時期はトレンチ掘削調査により確認されていない。トレンチ掘削調査で最新活動時期や活動間隔を把握し、地震防災計画の基礎資料とする必要がある。

三野断層と池田断層については、その分布域に沖積扇状地等の最新の地層が広く発達する箇所が乏しく、最新活動時期や活動間隔についての情報を得にくい。そうした情報が得られそうな場所があれば、トレンチ掘削調査を行うものとする。