(5)安居山断層南方延長部

既存文献によれば、安居山断層は富士川付近で不明瞭となり、それ以南へは延長しないと考えられている。

しかし、地形解析結果では、有無瀬川沿いに直線状の谷地形が認められ、その両側の山地には約70m〜100mの高度差が認められる。

図3−3−5に有無瀬川付近のストリップマップを、表3−3−5に有無瀬川沿いの地形・地質情報を一覧として示す。

表3−3−5 安居山断層南方延長部の地形・地質データ一覧表

安居山断層南方延長部は、富士川以南の富士川町北松野(山田地区)では崖錐堆積物に変位を与えておらず、さらに南方の富士川町北松野(西野地区)では断層は確認されない。したがって、安居山断層の南方延長部は少なくとも富士川町北松野(西野地区)までは連続しない。リニアメントとして判読される直線状の谷を挟んで両側の山側に認められる高度差は、大塚(1938)等が推定したように入山断層の衝上運動に伴う南北方向の褶曲により生じたものであると考えられる。

また入山断層との合流部付近にみられた断層は、入山断層の派生断層と考えられる。