(6)富士川町中山地区

本調査地では、中山断層の新しい時代の活動履歴を把握することを目的として、比抵抗映像法探査150mを実施した。

(1)地形・地質調査結果 

中山断層は、入山断層系の中で、この断層のみ変位が東側隆起という特徴を持つ。

また、地形的特徴は急崖の連続からなり、その崖を境に、西側の標高約400mの山地と東側の標高約550mの山地とが接しており、約150mの比高が認められる。

リニアメント沿いに、3箇所で断層露頭が確認され、断層より西側が鷺の田礫層、東側が岩淵安山岩類からなる。

図3−2−22に調査地付近の地表踏査結果図を示す。

調査地は、中山断層の北端部にあたり、リニアメントを横切る谷地形が認められる箇所である。

谷中に古期崖錐堆積物が認められる。この古期崖錐堆積物の堆積年代は不明であるが、この堆積物の堆積面は標高約290〜320mであり、現在の河床よりも約100m高いことから、少なくとも下末吉期(約12万年前)以前に形成されたものと推定される。

調査はリニアメントを挟んで、古期崖錐堆積物の基底標高を確認するため、比抵抗映像法探査150mを計画した。

(2)比抵抗映像法探査結果

図3−2−23に比抵抗映像法結果図を示す。

リニアメントが通過する位置は測点100m付近と推定されるが、この付近で基盤の比抵抗値に差が認められ、この付近に断層が存在すると推定される。また、その上部に高比抵抗部が認められ、ほぼ水平に連続している。その比抵抗値と分布状況から、この高比抵抗部が古期崖錐堆積物に相当すると推定され、その基底面に断層による変位は認められない。

(3)まとめ

以上の調査結果から、中山断層は古期崖錐堆積物には変位を与えていないと推定される。

図3−2−22 中山地区付近の地表踏査結果図(縮尺1/2,500)

図3−2−23 中山地区比抵抗映像法結果図(縮尺1/500)