(1)入山断層

入山断層は、入山断層系の主体をなす断層であり、第四紀をとおして活発に活動してきた断層である。

入山断層は、約2万年前に堆積した低位段丘堆積物に変位を与えている。また、南部では約1万年前に堆積した沖積層に変位を与えていない。このことから、入山断層は約2万〜1万年前に1または数回活動したと考えられる。

入山断層はYamazaki(1992)などに示されるように、形成当初は現在の入山瀬断層と同じような活発な活動をしていた。しかし、入山瀬断層形成後は断層運動が富士川断層系に移行していき、その活動は小さくなっていると考えられる。

再来間隔が不明なため、活動が将来にわたるかどうかは不明である。

活断層が活動する際に生じる地震の規模は、その長さや単位変位量から推定することができる。

活断層研究会編(1991)に示される松田の式は、

 logL=0.6M−2.9・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4−1)

 logD=0.6M−4.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4−2)

 ここに、L:活断層の長さ(km)

 D:単位変位量(m)

入山断層が活動した場合、発生しうる最大地震は、L=15kmとすると、

                ML=6.8

入山断層と芝川断層が同時に活動した場合の最大地震は、L=15+7km=22kmであるから、

                ML=7.1

と推定される。