(2)位置(決定に至る経緯と選定理由)

トレンチ調査は、関ヶ原断層の更新世後期の活動性を評価するために、秋葉地区では1箇所、丸山地区では近接した2箇所、合計3箇所のトレンチを掘削した。トレンチ調査箇所は、地形地質調査の結果を主として検討し、決定した。

トレンチ調査は、秋葉地区,丸山地区の順序で行った。

以下に、各トレンチの位置決定にあたっての経緯と選定理由を示す。

@秋葉地区(秋葉トレンチ)

秋葉・丸山地区では、地形調査の結果、秋葉,丸山,北野の3つの閉塞丘の分布・形状の地形情報が得られ、調査範囲内では最も断層変位地形として明瞭であった。地質調査の結果、中・古生層砂岩・泥岩(美濃帯)中の断層破砕帯の確認や、中・古生層と東海層群の近接露頭の確認がなされた地質情報から、秋葉閉塞丘の北側を通り、北野・丸山両閉塞丘の北側へ伸びるF−1断層(F−1−1とF−1−2に分岐)を推定した。

F−1断層については、秋葉閉塞丘の北側の谷底部に断層通過位置が絞り込むことができ、かつ、埋谷した更新世後期〜完新世の堆積物も分布していると推定できた。

以上の理由から、谷幅23mの谷底部を横断したトレンチを掘削することとした。

A丸山地区(丸山Aトレンチ,丸山Bトレンチ)

秋葉地区では、F−1断層を対象に秋葉トレンチを実施したが、断層により切断された地層や断層運動に伴うと考えられる地層の変形は確認できなかった。地震に関するイベントとして、地震によると考えられる地層の落ち込みが発見された。また、堆積環境の変化に伴う堆積相の変化が確認された。これらの発見により、秋葉地区以外でもF−1断層を対象とした、活動性評価が必要となった。

以上の経緯で、秋葉閉塞丘北側の次に狭い範囲に絞り込める丸山閉塞丘の北側で、かつ北野閉塞丘の南側に推定できるF−1−2断層(F−1断層が分岐)を対象に丸山トレンチを実施することとした。

丸山トレンチは、丸山閉塞丘と北野閉塞丘の間の谷の西側の低位段丘T面を閉塞丘間の谷幅(25m)で掘削する計画であったが、用地の制約上、1箇所のトレンチではでは不可能であったため、近接した2箇所で丸山Aトレンチ,丸山Bトレンチとして掘削することとした。