(4)測定結果

以上の方法によって得られた地形補正済みブ−ゲ異常分布を測定位置(・印)と共に図2−3−2−1に示す。縮尺1/50,000,密度仮定 2.67 g/cm3 であるが、測定点分布が均一ではないためコンタ−の引き方に自由度が大きい。ここに示したコンタ−以外にも若干違った位置にコンタ−を引くことも可能であるが,当然本質的に違ったものとはならない。

ブ−ゲ異常値は仮定した密度によっても微妙に変化する。特に調査地域の標高が高い場合そうである。ここで採用した密度仮定 2.67 g/cm3 は一般によく用いられる値であり、花こう岩や中・古生層が卓越した広い範囲にわたる重力異常を議論する場合には妥当性が高い値である。本調査地域は、ごく表層と標高 300 m 程度の丘陵地を除けば,高い山地地域は基本的に中・古生層が占めているから問題ない。

今回測定した数値は別納資料(密度仮定 2.67 g/cm3の場合)に掲げた。整理番号は現地での測定順に振られている。整理番号は調査地域北部での最初の測定値(金沢重力基準点)をNo.1 としてある。

重力異常分布の特徴は次の通りである。

図2−3−2−1からわかるように調査地域の重力異常はほとんどが負の値である。ブ−ゲ異常は大勢として西部(琵琶湖側)と東部(濃尾平野側)で低い値を取る。この両平野地域に挟まれた伊吹山地域において若干高い値を取る。本調査地域における重力異常は,ほとんどの値が −30 から −20 mgal の間に入ってしまっている。測定データ中の最大値は伊吹山地における約 −20 mgal,最小値は琵琶湖岸近くでの約 −40 mgal である。全体としては変化に乏しい重力異常分布になっている。

伊吹山地の南西部側縁に沿って重力異常の凹地がほぼ連続して分布する。そのへりでは勾配も若干大きくなる傾向が見られるが,これも顕著なものではない。

大局的に見れば,伊吹山地と南方の霊山山地が相対的に高い重力異常を示し,その間に挟まれた地域と近江盆地および濃尾平野が低い重力異常分布となっている。

図2−3−2−1

図2−3−2−2