(4)関ヶ原断層の活動性に関する記載

周辺地域の活断層の活動性に関する文献としては、杉山雄一・粟田泰夫・佃 栄吉・吉岡敏和(1993):1992年柳ヶ瀬断層(余呉町椿坂地区)と宇佐美龍夫(1995):新編日本被害地震総覧がある。

杉山ほか(1993)は、関ヶ原断層が一部をなす柳ヶ瀬−養老断層系の柳ヶ瀬断層で行われたトレンチ調査から、この断層の最終活動時期が1300年代前半の確率が高いとし、1325年に起きた地震と対応するものとしている。関ヶ原断層との関連については記述はない。図2−1−2−5に、杉山ほか(1993)に示されている柳ヶ瀬断層のトレンチスケッチを示す。

宇佐美(1995)では、この地域で被害が記録される最大の地震として1909年の江濃(姉川)地震の記録が残されている。この地震での被害は琵琶湖東北岸の虎姫付近が最も大きく、被害の分布は柳ヶ瀬断層の南部から関ヶ原断層にかけての地域に連続していることを示している。震央は長浜の北と考えられている。関ヶ原断層との関連については記述はない。図2−1−2−6に江濃(姉川)地震による家屋倒壊率の分布を示す。これによれば、琵琶湖東岸の低地部での家屋倒壊率(数%〜66%)に比べ、関ヶ原市街地での家屋倒壊率2%以内と低いことが伺える。

図2−1−2−5 杉山ほか(1993)に示されている柳ヶ瀬断層のトレンチスケッチ

図2−1−2−6 宇佐美(1995)に示された江濃(姉川)地震による家屋倒壊率分布