6−3 試料分析

ボーリングコア試料を用いて実施した各種分析の結果をまとめると図6−3−1のとおりである。図に示すように、試料分析はおもにNo.1地点のコア試料を対象に実施した。各分析項目より明らかとなった地質情報をまとめると以下のようである。

なお、花粉分析および珪藻分析では、試料中の化石数が極めてわずかか、あるいはまったく含まれていなかったため、有用な分析結果は得られなかった。

図6−3−1 試料分析の概要

1炭素年代測定
分析結果は図6−3−1に示したとおりである。No.2地点を除いておおむね矛盾のない測定値が得られた。しかし、上下関係に逆転が見られたNo.2地点では、榛名二ツ岳渋川火山灰(6世紀初頭噴出)の検出より、上位試料(1920−2325cal.yBP)を2次堆積物の分析と考えた。また、No.1地点における中位試料の分析値(5750−5830cal.yBP)は、反射記録およびNo.2地点との地層の連続性よりを考えるとかなり古い値であることより、参考値として扱った。

2火山灰分析
表に示すように、No.1、2地点において浅間B火山灰(As−B)および榛名二ツ岳渋川火山灰(Hr−FA)などの起源物質が検出されている。それぞれ西暦1108年と6世紀初頭の噴出と考えられている。しかし、いずれの試料も深度1.8m以浅であり、前述したように人工改変により攪乱されている可能性が大きいが、堆積時間面の推定に際して有用な情報となる。

No.2、3地点では、13,000〜14,000yBPころの噴出とされている浅間板鼻黄色火山灰(As−YP)を起源とする可能性のある由来物が検出されている。いずれの試料においても微量であることより2次堆積などの上方への拡散による混入と判断される。

3砂粒組成分析
No.1地点において火山灰物質の検出を目的として分析を実施した。深度1.3m以浅の4試料より浅間B火山灰(As−B)を起源とする軽石が検出されたが、いずれも微量であり噴出層準の特定はできなかった。また、第1、第2粘土層について分析した結果、火山ガラスや軽石などは検出されず、含まれる重鉱物も黒雲母を除けばほとんどの試料で少量であり、火山灰起源と判断されるものではないと考えられる。

4礫種構成分析
No.1地点の礫層の分析結果をもとに、埼玉大学角田史雄教授は、以下のような見解を述べた。

”深度6.1〜8.2mを境にして、利根川水系に由来する新鮮な安山岩礫と結晶片岩礫とが含まれる上位層と、それらが含まれない下位層とに分けられる。上位層の礫種構成は、現在の利根川流域、とくに No.1地点に礫を運び込んだと考えられる小山川流域の現河床面ならびに立川面の段丘構成層のそれとほぼ同じであるので、深度6.1m以浅を占める地層は完新統の可能性が高い。これに対して、深度8m以深の構成層中には上記の安山岩礫も結晶片岩礫も認められず、先新第三系である秩父系のチャートや砂岩のみが目立つ。このような礫種構成は小山川水系の立川面より新しい段丘構成層には認められないので、深度8m以深の地層は、先立川期、とくに武蔵野期あるいは下末吉期に堆積し、小山川上流域の上武山地ないし関東山地から供給された砕屑岩類からなる上部更新統と考えられる。しかし、結晶片岩礫は、礫層の基質中にアクチノ閃石の砂粒として含まれていることもあるので、その有無については、砂粒解析などの検討を要する。”

これより、第3礫層は完新統、第2礫層以深は上部更新統に対比される可能性が高く、炭素年代測定結果とも矛盾はしない。