3−9−2 調査候補地

今後の調査の候補地点は、今回反射法探査を実施した本庄地域と本庄地域と深谷地域のほぼ中間の岡部町岡地域が挙げられる。以下に2地点を選択した理由を述べる。

@本庄地域

この地点は反射法探査が行われ、極表層部における地層が変形を受けている可能性の高いことが示唆されている。この結果をもとに今後の詳細な調査地点を絞り込み易い利点がある。しかし、この地点には、小山川の河川性の粗粒堆積物が形成されており、地層の堆積年代を特定するための腐植物等の細粒堆積物に乏しいことが予想される。また、明治時代における迅速測図原図に見られる土地利用状況より判断すると、この地域では河川流路が変更されている可能性が大きい。従って、詳細調査の対象地域は、表層の堆積物が人工的に攪乱されている地域を避けて選定する必要がある。

A岡部町岡地域

この地域は、本調査における反射法探査の深谷および本庄測線の間に位置しており、探査結果をもとに断層の通過位置をおおむね推定することができる。また、今後のより詳細な探査によって、さらに絞り込むことが可能であると考えられる。

この地域は沖積低地のうちでも、7世紀ころより水田として利用されていた地域であり、沖積層の軟弱な堆積物が比較的安定して分布する可能性が高く、地層の年代測定を行うための腐植物の含有が期待できる。さらに、この地域は砂田前遺跡、岡部条理遺跡などをはじめとする、遺跡分布地域であり、極表層部における地層の時代特定に利用できる土器などの遺物が埋蔵する可能性が大きいといえる。しかしその反面、この地域は上述の各遺跡の包蔵地域でもあるため、今後の詳細調査に際しては、事前に遺跡の発掘調査が必須となる可能性が大きく、その調整が必要となろう。

以上のように、今後の詳細調査は、断層活動による地層の変形地点の特定とともに、表層部における堆積物の状況や、現在の土地利用状況などの諸条件を総合的に考慮した上で、対象地点を選定する必要がある。