(1)地 形

利根川中流低地は、上流の妻沼低地と下流の加須低地にわけられる。本調査地域の低地は、妻沼低地の南部にあたり、低地の南西側に広がる本庄・櫛挽台地とは、崖線で境されている。とくに南東部の崖線は立川段丘を切るもので、深谷断層とよばれている。

この地域の段丘面は、図2−1に示されるように、武蔵野期の櫛引面と立川期後期の寄居面に区分され、寄居面は大里ローム層に覆われる御稜威ヶ原面に細分されている。この低地は、利根川に沿う自然堤防と後背湿地のほかに、荒川による新期扇状地で特色づけられる。

これらの地形区分は、国土地理院が平成9年に発行した数値地図50mメッシュ(標高)を解析することによっても表現されている。参考のため、図2−2にその一例を示す。

一方、この地域における特産物のひとつに挙げられる深谷瓦や煉瓦などは、この完新統の河川成の粘性土を用いて焼かれたものであり、その歴史は9世紀までさかのぼるようである。調査地周辺にある大沼、明戸、幡羅などの地域でとくに良質の土が産したが、現在ではそのほとんどが掘りつくされ、原土は他県から移入しているようである。

図2−1 地形面区分図

図2−2 数値地図をもとに作成した本庄・櫛挽台地周辺の地形