3−2−9 地質構造解釈

データ処理中に得られた区間速度をもとに、ほぼ測線全域にわたり確認される反射面をいくつか選び、水平方向に追跡し、それらの反射面を境界とした区間速度構造図(図3−2−16)を作成した。鈴木(1996)による深層ボーリングから得られたP波速度、

先新第三系 4.0km/s以上

三浦層群 2.5〜3.3km/s

上総層群 1.8〜2.5km/s

を参考にすれば、測線西端での各境界深度は、

先新第三系/三浦層群 深度 約3600m

三浦層群/上総層群 深度 1200〜1500m

上総層群/下総層群 深度 300m以浅

と推定される。本調査測線周辺での浦和と東久留米の坑井(表3−1−4)データによれば、上総層群/下総層群の境界深度は約200mと考えられる。さらに、先新第三系上面については、反射記録における上位層との関係や反射パターンの違いから見て、図3−2−14の深度記録上で深度3500m付近で西に傾斜した反射イベントは先新第三系と三浦層群との境界に対応するものと考えられる。

以上の結果を反射振幅をカラーで表示した深度記録上に表示した(図3−2−17)。この解釈図上の特徴を以下にまとめる。

・先新第三系上面が西に傾斜するのに対して、三浦層群中の反射面はほぼ水平を示す。

さらに、三浦層群の層厚は西に向かって大きくなり、測線西端で約2000mにも達している。鈴木(1996)も指摘しているように、三浦層群は先新第三系の凹凸を埋めるように堆積し、一般に先新第三系深度が大きいところでは三浦層群の層厚が大きいという傾向が、本調査測線でも認められる。

・上総層群及び下総層群は成層構造を示しながら非常に緩やかに東に傾斜している。上総層群の層厚は測線内では一定である。