3−1 既存資料調査

学術ボーリングと温泉ボーリング

大阪平野地下部の堆積層の層序区分については、これまでに行われた深層学術ボーリング結果が重要な情報となっている。これらの地質調査を主体とした学術ボーリングは地層区分が詳細であり、周辺のボーリングと比較対比することが可能である。1960年〜1970年に大阪市が地盤沈下対策として、深層学術ボーリングを実施しており、大阪平野内において合計9本の学術ボーリング調査が行われた。これらはOD−1〜OD−9と命名され、特に、OD−1は907mにも達する長尺ボーリングであり、大阪平野地下の堆積構造を知る上での重要な指標ボーリングとなっている。これにつづいて、さまざまな機関において学術ボーリングが実施されている。

さらに、近年のボーリングでは大阪平野基盤付近の地温勾配により水温の高くなった地下水を汲み上げ、温泉等に利用されている。このような使用を目的として実施されたボーリングは「温泉ボーリング」と呼ばれる。温泉ボーリングではコアサンプリングを行わないが、基盤の岩着深度などについては情報があり、大阪地下部の堆積構造を知る上では有益な情報である。重力探査結果(井上ほか,1997)と共にこれらの学術ボーリングと温泉ボーリングの掘削地点を図3−1に示す。