(2)<坂本断層>

本調査で実施したNo.2孔の東約1.5kmには坂本断層がNW−SE走向で通過する。さらにこれよりも東側のいぶき野では、大阪層群最下部団体研究グループ(1992)が地質調査を行い、各種火山灰層の分析および海成粘土の同定を行っている。この2つのデータは、坂本断層の上盤と下盤にあたり、調査方法が異なるが、断層の概略の活動性を考察することができる。

坂本断層下盤側のNo.2孔と上盤側で報告されているいぶき野1丁目周辺の柱状図(図2−16)を対比すると、坂本断層について以下の情報が得られる。なお、大阪層群最下部団体研究グループ(1992)の柱状図を用いるにあたっては、C3柱状図の八町池T火山灰の標高を52.0mとして各海成粘土層の下面標高を算出した(表2−6)。また、C3柱状図は平成8年の反射法地震探査測線のCMP No.830〜920付近に相当する。この断面からは、坂本断層の構造は不明瞭であること、また、国土地理院(1996)発行の都市圏活断層図からは、坂本断層の末端部に相当することから、坂本断層の活動性を完全に反映する可能性は低い。

・No.2孔と大阪層群最下部団体研究グループ(1992)を用いてMa4〜Ma7の下 面標高の差(比高)を求めると以下の通りである。

Ma7:40.76m

Ma6:52.16m

Ma5:51.45m

Ma4:51.27m

・Ma4〜Ma7の各地層間の比高差は以下の通りである。

Ma6−Ma7:11.4m

Ma5−Ma6:‐0.71m

Ma4−Ma5:‐0.18m

・両柱状図間で確認された八町池T火山灰層の比高は、51.27mである。

Ma4〜Ma6層は比高がほとんど等しいことから、この地域の坂本断層には累積性がないと考えられる。Ma7で比高が小さくなる原因として、No.2孔のMa6層の層厚が厚く、それが原因でMa7層の下面標高が上昇したことが考えられる。そのために、Ma6層とMa7層の比高差が大きくなると予想される。