1−3−3 文献・資料収集

大阪府地域活断層調査の文献調査に際しては、現地調査地域に重点を置きつつ、周辺地区も含めて、文献ならびにボーリング資料を中心に収集を行った。現在までに収集・検討した。資料は、下記の通りである。

・土質工学会関西支部・関西地質調査業協会編(1987):新編大阪地盤図,コロナ社,285p.

・ 藤田和夫(1982):大阪地盤と地殻変動,日本応用地質学会関西支部,143−152.

・ 吉川周作(1976):大阪層群中の火山灰層について,地質学雑誌,82(8),479− 515.

・ 横山卓雄・壇原 徹・山下 透(1986):温度変化型屈折率測定装置(RIMS−86)による斜方輝石・角閃石の屈折率測定の試み,京都大学教養部報告(九十九地 学)21、31−36.

・活断層研究会(1991):[新編]日本の活断層−分布図と資料,財団法人東京大学出版会,437p.

・Ikebe, N.・Iwatsu, J.・Takenaka, J.(1970):Quaternary Geology of Osaka  with Special Reference to Land Subsidence,Journal of Geosciences,Osa ka City University,Vol.13,Art.4,39−98.

・山本栄作・中川康一・三田村宗樹・戸田茂・西田智彦・寺田祐司・宇田英雄・ 横田裕(1992):大阪平野中央部における反射法地震探査T−淀川(十三〜柴島) 測線−,日本応用地質学会平成四年度研究発表会講演論文集,185−188.

・ 吉川宗治・町田義之・寺本光雄・横田裕・長尾英孝・梶原正章(1987):大阪市内における反射法地震探査,物理探査学会77回学術講演会講演論文集,114−11 7.

・ 地質調査所(1996):上町断層の断層長評価に係わる反射法弾性波探査報告書,86p.

・ 地質調査所(1997):神崎川における上町断層の反射法地震探査報告書,53p.

・ 地質調査所(1997):大和川下流洪水敷及び堤防道路におけるバイブレーター震源による住之江撓曲の反射法弾性波探査報告書,28p.

・断層研究資料センター・財)災害科学研究所「大阪平野地下地盤構造研究会」(1991):上町断層研究会《資料集》関西地質調査業協会,125p.

・断層研究センター(1994):京阪神の直下型地震を考える〈資料集〉,断層研究センター,63p.

・ 断層研究センター(1995):活断層研究の歴史と現状〈資料集〉,断層研究センター,101p.

・藤田和夫・岡田篤正(1995):1995(平成7)年兵庫県南部地震の地震断層と六甲−淡路島活断層系,断層研究資料センター,138p.

・藤田和夫,・岡田篤正(1995):地震と活断層〈阪神大震災にみる関西各新聞社の報道〉,断層研究センター,95p.

・ 松田時彦(1992):動く大地を読む(自然景観の読み方2),岩波書店,158p.

・ 原田哲朗・石田志朗・大西郁夫・徳岡隆夫(1963) 大阪南方の和泉地域の大阪層群,地球科学,66,1−8.

・ 岡田篤正・千田昇・中田高(1996):2万5千分の1都市圏活断層図「岸和田」,国土地理院.

・ 市原 実・市川浩一郎・山田直利(1986):岸和田地域の地質,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,148p.

・藤田和夫・笠間太郎(1982):大阪西北部地域の地質,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,112p.

・藤田和夫・前田保夫(1985):大阪西南部地域の地質,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,103p.

・ 市原 実(1975):大阪層群と大阪平野,アーバンクボタ,11,26−31.

・ 町田 洋・新井房夫(1994):火山灰アトラス[日本列島とその周辺],東京大学出版会,276p.

・市原 実(1983):大阪層群の研究における現在の問題点−いわゆる“芝の不整合”の問題,および大阪層群と高位段丘層の関係について−,地団研専報, 25,1−11.

・ 市原 実・吉川周作・川辺孝幸・三田村宗樹(1984):岸和田市津田川流域のいわゆる“芝の不整合”について−大阪層群の古地磁気層序とフィッション・ トラック年代−,38,1−16.

・ 関西地質調査業協会協同組合 関西土質研究センター(1992):丘陵地地盤研究会,第4回報告会〔報告書〕,42−46.

・ 小倉博之・吉川周作・此松昌彦・木谷幹一・三田村宗樹・石井久夫(1992):大阪府、上町台地南部の台地構成層と地形面の形成時期,第四紀研究,31,17 9−185.

・ 市原 実(1991):2万5千分の1「千里山丘陵とその周辺の地質図」.アーバンクボタ,30.

・ 市原 実編著(1993):大阪層群.創元社,340p.

・ 市原 実・藤田和夫・森下 晶・中世古幸次郎(1955):千里山丘陵.地質学雑誌,66,605−615.

・ 松田時彦(1975):活断層から発生する地震の規模と周期性について,地震,28,269−283.

・ Yoshikawa,S.(1984):Volcanic Ash Layers in the Osaka and Kobiwako Groups, Kinki District, Japan. Jour. Geosci. Osaka City Univ., 27, 1−40.

・ 大阪層群最下部団体研究グループ(1992):大阪層群中の「不整合」について−松尾丘陵北部の大阪層群−.地球科学,46,209−220.

・ 大阪府南部流域下水道事務所(1987):和泉泉大津線(T)土質調査委託その3報告書.

・ 大阪府南部流域下水道事務所(1993):和泉泉大津線(T)土質調査委託報告書.

・ 大阪府南部流域下水道事務所(1995):和泉泉大津線(T)土質調査委託報告書.

・ 大阪市(1996):平成7年度地震調査研究交付金 上町断層に関する調査成果報告書,235p.

・ 大阪府(1997):平成8年度地震調査研究交付金 上町断層帯に関する調査成果報告書,188p.

・ 大阪府(1998):平成9年度地震関係基礎調査交付金 上町断層帯に関する調査成果報告書,121p.

・ 通産省地質調査所 活断層・地震予知特別研究室(1997):平成8年度に実施した活断層・古地震調査の成果概要.地質ニュース,519,11−20.

・ 通産省地質調査所 活断層・地震予知特別研究室(1998):平成9年度に実施した活断層・古地震調査の成果概要.地質ニュース,529,7−14.

・ 寒川旭(1997):活断層の履歴調査と考古学.考古学研究,第43巻,第4号.

・ 井上直人・中川康一・領木邦浩(1997):大阪平野の重力異常と基盤構造,物理探査,第51巻,1号,1−16.

・ 杉山雄一(1998):活断層.古地震研究の現況と今後の課題.地質ニュース,523,12−20.

・ 関西地盤情報活用協議会(1998):新関西地盤−神戸および阪神間−,270p.

・ 関西地盤情報活用協議会(1998):関西地層分布図−大阪平野−解説書,31p.

・ 横倉隆伸・加野直已・山口和雄・宮崎光旗・井川猛・太田陽一・川中卓・阿部 進(1998):大阪湾における反射法深部構造探査,地質調査所月報,49巻,11 号,571−590.

・ 吉川周作(1998):大阪平野地下の第四紀系層序,第8回環境地質学シンポジウム論文集,日本地質学会環境地質研究委員会発行,105−110.

以上の中で、特に重要な文献については以下に概要を示す。

・ 「新編 大阪地盤図」

1987年に刊行された本地盤図は、大阪地域のボーリングデータを取りまとめたものであり、上町断層通過付近において、新たな地層の急傾斜帯が示されている。

・「新編 日本の活断層」

1991年に出版された「新編 日本の活断層」に記載される確実度とは、活断層の存在の確かさを3段階に評価したもので、Tが最も確実であるもの、Uが活断層と推定されるもの、Vが各断層の可能性があるものとされている。また、活動度は活断層の平均変位速度をA・B・Cの三段階で示したもので、Aは1〜10m/千年、Bは0.1〜1m/千年、Cは0.01〜0.1m/千年である。

上町断層は確実度T、活動度Bの第一級の活断層である。これは地表近くの堆積層(大阪層群)が急傾斜することや撓曲が確認されたこと、あるいは基盤高度が異なることからその存在が記述されている。さらに、中之島において実施された反射波地震探査結果より、基盤岩の明確なずれ、およびその上面の堆積層のたわみが明らかにされた。走向方向は南北で北方の佛念寺山断層に続くと考えられている。活動周期等は明らかではない。上町断層の延長にあたる佛念寺山断層は上町断層と同様の確実度T、活動度B(平均変位速度が0.1〜1m/千年のオーダー)の第一級の活断層であり、走向および断層形態も上町断層と同じである。

南に推定断層として記載されている長居断層は確実度U、活動度は不明であるが、地形面とその構成層の高度が不連続であることから、断層とされている。この走向も上町断層に同じくするものである。

・「大阪層群」

大阪層群の層序や構造および各種分析結果などを取りまとめたもので、大阪層群についての総括的文献である。本調査地域周辺の地質分布についても詳細に書かれている。