4−5 今後の課題

坂本断層については、総変位量を明らかにする必要がある。しかし、撓曲帯が幅100m以上の広範囲に渡るため、活動履歴や最新活動時期等の情報を得ることは非常に困難である。

久米田池断層については、尾生地区のトレンチ調査では断層によるずれは確認されてはいないが、今回の結果のみでこの地域に断層は存在しないと完全に否定することはできない。よって、周辺地域での更なる調査が期待される。また、この久米田池断層は再来周期の長い断層と考えられるので、断層を挟んで長尺のボーリングを行ない、より長い時間の地質情報を得ることによってそれらの活動性を検討する必要がある。さらに、今回岡山地区群列ボーリングの結果からは、沖積層基底部において、約10mの変位が確認されたが、詳細については今後の検討が必要である。このような堆積構造の連続性を追跡するためにも、反射法地震探査の実施や群列ボーリング調査による対比作業を行なうことが有効であると考えられる。

一方、上町断層は都市直下を通過する伏在性の断層であるから、常に上町断層近傍の土地活用情報に注意を払って行かなければならない。最終活動時期や一回あたりの変位量などを解明するためには、今後、さらに断層に関する基本的情報を蓄積しつつ、有効な調査方法の開発が待たれる。