4−3−5 まとめ

調査の目的は、横ずれ断層の伴う変位やボーリング精度で示されない変位を把握することであった。

調査の結果を地質断面図(図4−10図4−11、図4−12)として示している。

ボーリング調査によって沖積層と大阪層群が確認された。No.2、No.3、No.4のボーリングにおいて、特徴的な火山灰層であるアズキ火山灰が見出されたことから、火山灰層の上位と下位で認められた海成粘土層は他地区との対比からMa3であることが判明した。したがって、本地域の大阪層群の層準は、Ma3以下の層準である。

大阪層群は、地表近くの未固結な地層である沖積層によって不整合に覆われている(図4−12)。

アズキ火山灰層の分布から求めた大阪層群の構造は、西に向かって一様に非常に緩やかに傾斜しており、No.2、No.3のボーリング地点間にみられる地形的段差を生み出すような地質構造は明瞭には認められなかった。また、沖積層もほぼ水平に分布している。

大阪層群と沖積層の不整合面もほぼ水平に分布し、断層変位や撓曲構造を明瞭に識別できない。特に、トレンチ調査の結果、3層および4層はほぼ水平に連続して分布していることから、東トレンチと西トレンチの間には何ら活断層による地質構造の変化は認められなかった。

当初、撓曲崖とみなした東トレンチと西トレンチ間の地形的段差は、2層の層厚の差である。2層の堆積面の末端部が多少の人工改変も加わって、段差が強調され、撓曲崖様にみえたと考えられる。

以上の結果より、当地区においては断層の存在を示す顕著な証拠は、地表面近くでは見られない。また、約80万年前に堆積したアズキ火山灰層に変位が見られないことから、久米田池断層は本調査地区においては少なくとも約80万年以降は活動していないと考えられる。