3−4−1 火山灰分析

a) 原理

火山から噴出した火山灰は、その時点における地表あるいは水中(湖沼、内湾、海洋)に上空から降り注ぎ堆積する。多少の時間的な差を無視すれば、火山灰が堆積するのは地質学的には同時といってよい。従って離れた地域の地層の中に同一の火山灰が見いだされれば、その火山灰が挟まれる地層の岩相に関わりなく、火山灰の直下の地層面は同時に存在していたことになる。いま離れた地域でお互いに連続して堆積している地層中に同一の火山灰が挟まれているなら、少なくとも火山灰の直下に存在している地層は同時期に堆積していたということができる。このことを利用すれば、調査地点ごとに得られた柱状図中に同一の火山灰を見いだすことにより同時期の地層を識別することができる。

b)試料の分析方法

ボーリングコアに挟在される火山灰層について、鉱物組成の鑑定および火山ガラスの屈折率測定を行い、岩石記載的性質を明らかにした。

分析方法はYoshikawa(1984)にしたがった。主な手順は次の通りである。

・火山灰を水洗篩別し、細粒砂サイズにそろえる。

・超音波洗浄により粒子に付着した粘土分等を除去する。

・プレパラートを作成し偏光顕微鏡にて鉱物組成(軽鉱物・重鉱物および火山ガラス)を計数する。

・分散法により火山ガラスの屈折率を測定する。

大阪層群中には数十層の火山灰層が挟まれるが、それぞれが特徴的な岩石記載的性質をもっており、識別が可能である。分析結果から、ボーリング間の同一火山灰層準の認定および既往文献に示される既知の火山灰層との対比を考察することが可能である。