3−2−1 反射法地震探査の概要

弾性波の反射を利用した地質調査(反射法地震探査)は、必ずしも新しいものとはいえないが、現在の「デジタルデ−タ収録・処理」および「CMP重合法」(後述)を基本とする反射法探査は、大型コンピューターが実用化した昭和40年代に入って生まれたものである。この探査法は従来の探査法とは比較にならない解析精度を持ち、主に石油の資源探査に利用され、昭和40〜50年代における石油埋蔵推定量の飛躍的な増加はこの探査方法無しでは実現しなかったと考えられる。反射法地震探査の主な特色は以下の通りである。

@ 堆積層など弾性波速度の変化を伴う地質構造であれば、観測された人工地震の反射記録を処理して、その地盤の断面図を作成することが出来る。

A また同時に、各地層の弾性波速度を求められる(速度解析)。

B 容易に深い地層の探査が可能であり、また深部に低速度層・断層等がある場合でも解析出来る。

C デジタルデ−タ処理のため、解析に個人の主観が入ることが少ない。

<参考;我が国における反射法小史>

昭和25年 W.Harry Mayne CMP重合法の現場技術特許取得。

昭和30年 石油資源開発の5ケ年計画策定、石油資源開発株式会社の設立

昭和31年 プラクラ社(西独)の陸上地震探鉱技術導入。GSI社(米国)の海上地震探鉱技術導入。磁気録音方式(アナログ方式)の採用。

昭和34年 MGS社(米国)の音波探鉱技術導入。

昭和37年 DPS(Seismic Data Processing System ;地震探鉱総合解析機、米SIE社)の採用。

昭和41年 CMP重合を行うことができるDPSを導入(米Geo Space社)、同時にCMP重合法を実用的に本格採用。

昭和42年 デジタル探鉱機(米Ti社、DFS10000)、CDCソフトウェアなど輸入。

昭和43年 エアーガンの採用、デジタル解析本格化。