1−4−2 反射法地震探査による結果

南部調査地域の概略図を図1−13に示す。

反射法地震探査による測線位置図は、図1−14に示す通り、和泉市の市道和泉中央線の府中町よりいぶき野三丁目にかけての約2.6km(CMP No.1〜1116)である。調査測線の結果断面を図1−15に示す。

測線の北西(海)側のCMP100〜330にかけてのかなり幅のあるゾーンにおいて、基盤岩から表層付近までの地層が大きな撓曲変形を示していることが確認された。また、測線の南東(丘陵)側のCMP820〜970にかけてのゾーンにおいても、前者ほどの規模には至らないものの、撓曲構造が確認された。

前者(海側)の構造は、槇尾川沿いに分布している沖積低地と低位段丘を境する位置と調和的であり、地形的根拠と本調査結果から考えられる断層伏在位置とが一致する。また、後者(丘陵側)で確認された撓曲構造は、坂本断層の延長部分に相当する。ただし、坂本断層の走向と本調査測線とが斜交しているため、真の垂直変位量を見積もることは難しい。更に、この構造は低角なスラスト状の断層であり、この構造の基盤への影響については測線外に続くため不明である。

この結果断面から判断する限り、測線の西側で確認された撓曲構造の方が落差が大きく活動的ではないかと考えられる。しかしながら、東の上盤側で明瞭に連続する反射面が、撓曲ゾーンで不明瞭になり、下盤側でわずかに確認出来る反射面との対比が難しい。加えて、下盤側の基盤上面の反射面が、1000m前後付近と想定されるが、断定的な面を確認するには至っていない。

現時点における反射法地震探査の結果からの活動性の詳細については、積極的判断基準がないため難しいが、周辺の深層ボーリング結果と併せて対比を行い累積変位量や平均変位速度の検討を行う。また、現在のりんくうタウンで行われた反射法地震探査をはじめ、地質調査所が地震以降に実施している大和川、堺市内での反射法地震探査等の結果、また、大阪府域での重力異常からの基盤深度等々の結果をもとに、総合的に判断する。

これまでの研究と今回の結果を総合すると、坂本断層直下に断層および撓曲構造が存在することが地形的・地質的に明らかになった。これは、建設省国土地理院から発行された都市圏活断層図とも調和的な結果を示している。本調査で行なった反射法地震探査の結果を見ると、坂本断層直下における撓曲構造は大阪層群の上部においてスラスト状の低角な断層として現れており、上盤側が基盤と接する付近は測線より東側になり、今回の結果からは確認できない。