3−3−2 ボーリング掘削深度,口径およびコア径の設定

掘削深度は以下の理由より250mとした.掘削口径は132mm,サンプリングを行ったコアの直径は85mm(PQ)である.

3地点のボーリングの対比を行うのに重要な役割をはたすのが,大阪平野直下に多数存在する海成粘土層である.この海成粘土層は,過去の学術ボーリングによって,下からMa −1,Ma 0,Ma 1・・・・Ma 13の番号付けがなされている.この海成粘土層の番号の決定は,これらの地層の間に挟まれる火山灰の同定によって決定される.中でも,ピンク火山灰,アズキ火山灰などが最も代表的で,この火山灰をもって海成粘土層の番号決定を行うことが,現時点で最も適切な方法である.本調査では,大手前ボーリングでこれらの火山灰を確認し,これを指標に北津守ボーリングおよび鶴見ボーリングを対比することにした.既存の調査ボーリングの結果より,上町台地上の直下約100mでアズキ火山灰が観察されている.また,過去の学術ボーリング結果よりピンク火山灰はアズキ火山灰より約100m下で観察されている.この結果を総合すると上町台地上のボーリング地点では約200m付近でピンク火山灰が出現すると考えられる.よって,250m程度のボーリングを行えば,この2つの火山灰は確実にサンプリングすることが可能である.以上により,本調査では上町台地上の大手前ボーリングで250mの掘削深度を設定した.また,西大阪の北津守ボーリング,東大阪の鶴見ボーリング位置で250mの掘削を行えば,200−250m付近の地層と大手前ボーリング上部の地層がオーバーラップすることが予想され,確実にこれらの3本のボーリングの対比が可能となる.このため,北津守・鶴見ボーリングにおいても掘削深度を250mと設定した.

また,本活断層調査をより確実に達成させるために,1)ボーリングコア試料を確実に採集すこと,2)分析試料をよりたくさん採取すること,3)調査位置の選定後,付近の地質を考慮した結果,砂質の層が見込まれ,コアの採取が当初考えていた径では厳しいこと,以上のことを考慮して,ボーリング径を直径85mm(PQ)とした.