2−6−2 探査結果の検討

各測線の地質構造の検討結果を,図2−6−6に示す.この図には,基盤岩上面推定位 置・海成粘土層を挟む地層の下限(OD1で−690m)・Ma3およびMa6の上面・各海成粘土層の推定深度・P波速度推定値などを記入した.各測線の検討結果の概要は次の通りである.

 1) 1測線 

 @ 1−A測線と1−B測線の境界部は南北に500〜600m離れており,図2−6−6−2よりこの境界部の基盤岩上面深度は,南落ちの約100mの落差が認められる.このため,この両測線を1本に繋いだ解析測線(1測線)ではこの付近の基盤岩形状が不自然となる.従って,詳細な検討は個別(1−A,1−B測線)に行うのが良いと考えられる.ただし,表層部の堆積層深度には両者の差はあまり認められない.

 A 1−A測線の基盤岩には,測線中央付近に落差が認められるが,直上の表層部の堆積層に背斜構造の軸が位置することより,これが上町断層本体である可能性が考えら  れる.

  なお,測線西端部は西落ちの傾斜がやや急になる傾向が認められ,後で述べる重力探査結果などと比較すると,この測線西端の近傍に断層構造が存在する可能性がある.

 B 1−B測線は,東落ちの緩い単斜構造である.ただし,CMP No.190 付近は基盤岩上面には変状が認められ,表層部の堆積構造もやや破砕されている様子が認められることより,何らかの活構造の可能性が考えられる.

 C 図2−6−6−1に1−A測線と1−B測線をCMP編集の時点で繋いだ解析結果を示す.CMP No.210〜320の区間の基盤岩上面構造が,両測線結果を重ね合わせた様に見られる部分が認められ,この繋いだ断面は不正確なものと考えざるを得ない.

  2) 2測線

 @ この測線で認められる断層は,従来「汐見橋撓曲」と呼ばれて推定されていた構造の位置とよく一致する.図2−6−6−4に示すようにこの断層は逆断層の構造が明瞭に認められ,またこれによる基盤岩の落差は約350mと推定される.

 A 下盤側の基盤上面は断層近傍を除くと不明瞭である.ただ,CMP No.30 付近の温泉ボ−リングで1475mで着岩した記録があるため,図に示すように基盤岩上面を推定した.