8 今後の課題

今回、文献調査から始まり空中写真判読、地形・地質調査、物理探査、ボーリング調査、トレンチ調査を実施し、大原断層の全体像が概ね判明した。しかし、断層の長さや活動履歴等で未だ不明の点も数多く、今後究明すべき課題も多く残されている。それらをまとめて以下に述べる。

@大原断層の長さの確認として、西端の位置を決定する必要がある。勝田町豊成付近以西では、基盤岩を切断する断層はあるが、第四紀層を切っている露頭はなく、変位地形も不明瞭となっているため、現段階では豊成以東を大原断層と考えている。

A西町A´トレンチで最新活動時期は判明したが、一つ前に活動した地層が認定できないため、再来間隔を把握する上ではまだ不十分といえる。

B勝北町及び奈義町に分布する那岐山断層は、その変位地形の連続性から長さ7.8 km、段丘面の変位量から平均変位速度がS=0.2〜0.4m/1000年のB級活断層と考えられる。表層を覆う黒ボク土(一般に縄文以降の形成)が変位している可能性が高く、比較的新しい時代に活動した可能性もあることから、今後詳細な調査が必要になろう。

C大原断層を岡山県側で調査して長さや活動時期について概ね明らかになったが、起震断層としての地震規模、再来間隔を考えるには大原断層だけでは無理があり、山崎断層系を全体として考える必要がある。現在兵庫県が実施している山崎断層の東南側の調査結果を踏まえ、総合的見地から山崎断層系の大原断層を評価することが望ましいと考えられる。