4−2−1 反射法探査の原理

地表で人工的に振動を発生させると、振動エネルギーは地中に伝播して、音響的に岩質あるいは地質の異なる境界で屈折、透過、反射する。反射法地震探査はこのうち、境界面で反射して、再び地表に戻ってくる振動エネルギーを捕らえ、その振幅の強弱から地下の地質構造を推定する手法である。

図4−2−1に示すように、地表で振動エネルギーを発生させ、同地点で反射波を受振してその伝播に要した時間を測定すれば、地下の反射面の時間深度が推定できる。この測定を直線状に等間隔に移動しながら繰り返すことで、地下の反射面の2次元構造が得られる。ところが振動エネルギーは地中を伝播する間に、分散、減衰して地上で受振する時には、境界面からの反射波は非常に微弱な信号となっている。一般に、陸上の反射法地震探査では、この微弱な反射信号を強調させ、同時に波形を劣化させているランダムノイズを抑制する効果のある、共通反射点重合法を用いている。この手法では、図4−2−2に示すように、地表に多数の受振点を設置し、地下から戻ってくる振動エネルギーを同時に受振すると、1回の発振で地下の反射面上に受振点と同数の反射点が形成される。受振範囲と発振点を少しずつ移動させて発振・受振作業を繰り返せば、反射点上に多数の信号が重複することになる。ここで1個の反射点を取り出してみると、この反射点上には経路の異なる波線が集合していることがわかる。この多数の振動信号を、振動の伝達経路と時間を考慮し、足しあわせて(重合という)1本の信号にすることで、反射面から戻ってきた振動エネルギーの振幅を強調することができる。重合した後の振動エネルギー(反射波)は反射点と地表との間を往復すると見なし、これらを地下の反射点間隔ごとに並べることで、地下の反射面の2次元構造を推定できる。

地震探査には深部探査に有効な縦波(P波:Primary Wave)と、P波に比べて地中内での伝播速度が遅く浅部探査に有効な横波(S波:Secondary Wave)があり、本調査にはS波のうち地震波の伝播方向に水平に振動するSH波を利用した探査を実施した。