4−1−1 比抵抗探査の原理

比抵抗とは比電気抵抗の略語であり、電気の流れにくさ(比抵抗)を表す値である。物体はその両端面の断面積とその距離が異なれば、同一物質であっても電気抵抗は異なる値を示すので、この物体の物性値として用いることはできない。そこで基準として図4−1−2に示すような1m×1m×1mの立方体を仮定し、対向する面に全体に電極を張り付けて、電気抵抗を測定した時の値を比抵抗と呼び、この物体の物性値として用いる。この比抵抗を用いた電気探査を比抵抗法もしくは比抵抗電気探査という。

地中の任意領域の岩石について、現位置に存在する状態すなわち自然状態での比抵抗を直接測定することは現状では不可能である。そこで地中に電流を流すことによって生じる電位を測定し、その計算によって比抵抗値の分布を求める。最も簡単な方法として、まず地中の媒質が等方均質な場合を仮定する。この時に、測定データから計算によって得られる比抵抗値を見掛け比抵抗といい、この値を測定した電極配置に対応した深度にプロットしてコンター等を用いて描いた見掛け比抵抗断面から地盤の大局的な比抵抗分布を解釈する方法である。次にこれを発展させた方法として、地下構造は水平方向には均質であるが、深度方向には変化するという仮定を前提とした1次元解析の手法がある。これらの方法は従来からかなり幅広く利用されてきたが、必ずしも地盤は仮定条件と一致しないため、実際の地中のイメージと解析で得られた比抵抗分布とに差異が生じ、地質解釈に十分適していないことが多かった。

最近では、測線方向と深度方向の2次元領域において比抵抗が変化するという、実際の比抵抗分布により近い仮定を用いた解析、すなわち2次元解析を行うことが多くなってきている。この解析法を用いた比抵抗法探査は、総称して高密度電気探査あるいは比抵抗2次元探査と呼ばれることが多く、2次元の領域で有限要素法等を用いて逆解析を行い、真の比抵抗を求め、比抵抗断面と表示するものであり、1次元探査より原理的に精度よく地盤を可視化出来る技術である。