4−2 海域の活断層

別府湾内の活断層について、島崎・岡村らにより得られたデータを中心にまとめると、次のようになる。

別府湾内の活断層は、長さ・変位の向き・変位量等の特徴から、日出沖断層系、別府湾中央断層系、杵築沖断層系に区分される。多くの断層がK−Ah火山灰を変位させており、特に別府湾中央断層系では最大20mに達するK−Ahの変位が確認されている。また、別府湾中央断層系とその周辺では、南落ちの変位が卓越しているが、他の地域では北落ちと南落ちが混在している。このほか、大野川河口東方には別府湾地溝南縁に近いにも拘わらず、南落ちの変位を示す短い断層が密集して

いる。

断層の活動性についてみると、島崎・岡村らの研究では、日出沖断層系の中の「豊岡沖断層」と「亀川沖西断層」では、断層の活動時期が異なっており、この2つの断層は異なる「地震系列」に属するとされている。また、この地域の断層は、time−predictableモデルの検証例とされている。

以上のように、海域については島崎・岡村らの研究で活断層の実体はかなり解明されつつあるが、最も活動性が高く、慶長豊後地震の震源の可能性のある別府湾中央断層と、陸域に近いが、活動性についての詳細なデータが得られていない大野川河口東方の断層群については活動性評価のためのデータが不足しており、今後の重点的な調査対象と考えられる。