(2)活断層

本地域にみられる活断層(雛戸山、立石山、ジャナガヅル)は、いずれも30〜70万年BPのやや古い火山体に変位を与えていることで認定できる。このうちジャナガヅル断層は、池田(1979)で、活断層とされているものの、命名されていなかったものであり、新称である。

いずれも南落ちで火山体の変位量は100m以上であり、これから求めた断層の活動度はB級となる。米軍撮影の空中写真でみると、ジャナガヅルと立石山の両断層の間に広がる新しい火山麓扇状地面上には、不明瞭ながら南落ちの小段差があり、両断層が一連であるようにもみえるが、確実ではない。この段差は現在は人工改変により確認できない。

滝川と津房川では、雛戸山・ジャナガヅルの両断層との交点より上流側に、断層運動によって谷が閉塞されて形成されたとみられる平坦面が広く分布しており、さらに低い位置にも平坦面がみられる。いずれの河川でも断層との交点より下流側には、これらの面に対応する面は認められておらず、このことからみて、断層運動による谷の閉塞と上流側の平坦面の形成というイベントはどちらの断層でも複数回生じたと考えられる。このような断層活動の詳細については、Loc.28のような閉塞谷の堆積物を検討することで把握できると考えられる。

なお、雛戸山断層では、西方の寒水開拓付近の松本火砕流堆積物から成る斜面には、雛戸山付近ほど明瞭な断層崖はみられない。また、さらに西方の深見ダム付近までの立石山火山の山体では、変位地形はさらに不明瞭である。Loc.34の露頭の状況も考慮すると寒水開拓付近から深見ダム付近までの部分は、活断層とし

ては扱う必要はないと判断される。