(3)断層の活動性

各断層帯の活動性パラメータを表8−1−2表8−1−3表8−1−4にまとめた。

<崩平山−万年山地溝北縁断層帯>

断層の長さ:約34km(中期更新世以後活動している範囲)

活動度  :中期更新世以後の平均はB〜C級。主要な断層ではB級で、その中でもかなり高いものがある。最も高いものはA級に近い。

活動時期 :最新活動時期は、東部では1,500年前以後、西部ではAso−4以後であるが、完新世に活動した証拠は得られておらず、これより前と推定される。

ひとつ前の活動は、東部では完新世、西部では不明。

活動間隔 :東部では、3,600年〜5、000年。西部では数万年オーダーと推定される。

<崩平山−万年山地溝南縁断層帯>

断層の長さ:約29km(中期更新世以後活動している範囲)

活動度  :中期更新世以後の平均はB〜C級。最大でもB級の中程度。

活動時期 :最新活動時期は、東部では1,500年前以後、西部ではAT火山灰以後の可能性があるが、確実ではなく、完新世に活動した証拠は得られていない。

ひとつ前の活動は、東部では完新世、西部では不明。

活動間隔 :東部では数千年オーダー(5,000年程度)。西部では、かなり長く、1万〜2万年以上と推定される。

ここで、各断層の変位の向きについてみると、水分断層では、変位量の具体的なデータは得ることができなかったものの、横ずれ変位成分の存在が確認されている。また、熊の墓断層や高柳断層、筌口U断層も、断層の形態からみて、横ずれ成分が含まれる可能性が高いと考えられる。このように、北縁断層帯、南縁断層帯ともに、少なくとも、完新世に活動した断層における変位には、横ずれ変位成分が含まれるか、その可能性が高い。これは、調査地域内で生じた大分県中部地震や最近の地震の発生機構とも整合的であり、調査地域内における今後の断層活動、地震活動を考える上で重要である。