(2)一手野−万年山断層、末野断層

南の分岐は、本城付近まで延びる。断層の長さは、5kmである。

平成14年度の調査で、この断層が山浦川を横断する位置を挟んで、下流側では、Aso−4火砕流堆積物の堆積面の高度が、上流側より高くなっていることを見出した(図7−7)。これは、北上りの断層活動によって生じた変位である可能性があると考えられる。一方、この断層より南側の末野断層の両側では、Aso−4火砕流堆積物堆積面の高度に変化はみられない。これより、末野断層は、Aso−4火砕流以後には活動していないと考えられる。

また、一手野−万年山断層のリニアメントの延長部が山浦川を横断する位置に、米軍撮影の古い空中写真で低位段丘面上に南落ちの段差が認められた。この段差が北上りの断層活動によって生じたものであるならば、Aso−4火砕流堆積物以後の新しい時代に断層活動があったことになる。この点を確認するために、平成14年度に、この段差があった地点でトレンチ調査を実施した(図7−8−1図7−8−2)。しかしながら、この段差に相当する位置では、段丘面の構成層を変位させている明瞭な断層は確認できなかった。これより、この段丘面の形成以後に断層活動が生じた可能性は低いと判断された。当初段丘面上の変位地形と想定した地形的な段差は、側方の谷からもたらされた巨礫が谷の狭隘な部分でトラップされた結果生じたものである可能性が高いようである。

図7−7 山浦川沿いの阿蘇−4火砕流堆積物上面の高度変化