2−2−1 基盤の地質

調査地域における被覆層を除く地質分布や地質構造については、旧地質調査所(現:産業技術総合研究所)による図幅調査の成果(久住、別府、宮原の各地域)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、略称のNEDOを用いる)による地熱開発に関連した研究成果などの文献にまとめられている。また、火山岩類の年代値も数多く得られている。これらの成果に今回の調査結果を加えて年代値や地質分布を整理し、調査地域の基盤地質図、後期更新世までの火山層序・火山活動史をまとめた(付図5、図2−1−1表2−1−1−1表2−1−1−2表2−1−2表2−1−3)。

調査地域の主要部については、1.5万地質図は公刊されていない。したがって、地質図の溶岩岩体区分は、調査地域を含む広域の地質図としてまとめられているNEDO(1990)に基本的にもとづき、公刊された1/5万図幅の範囲内では、それに応じて修正した。

大局的にみると、調査地及び周辺の火山活動は、約500万年前に始まり、徐々に活動範囲を西から東へ狭めてきており、70万年前を境に輝石安山岩質の活動が、角閃石安山岩質の活動に変化しているとされている(鎌田・小玉,1993;図2−1−2参照)。今回の調査地域内に分布する火山岩類の年代は、最も古いもので約100万年前(耶馬溪火砕流堆積物)であり、最も新しいものは約30万〜40万年前のものである。おまかにみると調査範囲東部の崩平山地域に分布する火山岩類の年代は、西部の万年山地域に分布するものに比べて噴出年代が相対的に新しいようである。

これらの火山では火山山体の形状が残っているものが多く、断層評価上の変位基準面として用いることができる。変位基準面の認定という観点から、各火山体の形成年代と層序について、以下にまとめる。