4−2−5 町田牧場−地蔵原地域

北部は筑紫溶岩(120万年前)、南部は柴やかた峠溶岩(54万〜70万年前)と桶蓋山溶岩(40万〜50万年前)の分布する山体の変形から断層の存在が認められる。桶蓋山北東方断層を除き、南落ちである。

町田牧場付近では、山体の開析が進んでいるため、野稲岳や崩平山付近に比べて変位地形は明瞭ではない。また、断層の分布も他の地域に比べて疎である。今回の調査では、猪牟田断層(図4−2−23)と栃木断層の北側で、この断層から派生したとみられる断層(図4−2−24)について露頭を確認した。後者では、Kj−P1より新しい地層まで変形を受けているが、地形的にはリニアメントは認定できない。この火山灰より新しい時代に断層活動があったかどうかは確認できていない。

地蔵原地域では、地蔵原断層のリニアメント付近で、K−Ah火山灰より新しい時代の断層運動ないし地震活動によって生じた可能性が考えられる地層の変形が認められた(図4−2−25)。また、桶蓋山北東方断層では、桶蓋山北麓の扇状地面上に低断層崖がみられる(図4−2−26)。リニアメント位置付近で露頭剥ぎを行なったところ、K−Ah火山灰層とAT火山灰層を北落ちに変位させている2条の断層が確認された(図4−2−27−1図4−2−27−2図4−2−27−3図4−2−27−4図4−2−27−5)。斜面下方の断層では、両火山灰層の変位量は、共に30〜40cmと同程度で、変形していない地層は、K−Ah火山灰層より上位の黒ボク土の上半部である。一方、斜面上方の断層では、AT火山灰層は明瞭に変位しているものの、K−Ah火山灰層は変位していないようにみえる。以上の点からみて、桶蓋山北東方断層では、AT火山灰より後でK−Ah火山灰より前とK−Ah火山灰より後の少なくとも2回の断層活動が生じた可能性が考えられる。