(1)(補足)千町無田測線の反射法弾性波探査結果の解釈

反射断面は、次のように解釈できる。

・水平方向に連続性の良い反射面が複数存在する。

・区間速度は表層付近で100m/s前後、深度50m付近でも200m/s以下と非常に遅い。これは、厚い沖積層の存在を示唆していると考えられる。

・測線中央の400m付近で、個々の反射面の深度が、測線の起点・終点側より深くなる傾向がある。

・距離程50〜100mの深度10〜20m付近では前後に存在する明瞭な反射面がとぎれ、この範囲の反射波の区間速度は周囲より遅い傾向がある。また、この距離程において深度30〜40mに存在する明瞭な反射面は、距離程100mより終点側では追跡が難しい。このことからみて、この付近に何らかの構造の不連続が存在する可能性が考えられるが、変位を伴う断層であるかどうかの判断は難しい。

・距離程100〜400mの深度10〜40mにかけては水平方向に連続性の良い複数の反射面が存在し、個々の反射面深度は測線終点側の方が深くなる傾向がある。

・上記反射面の水平方向の連続性は距離程320m付近でいったん途切れるが、これについては、地表部が橋梁になっており、測定ができなかったことが原因として考えられる。

・距離程400〜700mの深度15〜40mにかけては複数の水平方向に連続性の良い反射面が存在し、個々の反射面深度は測線終点側の方が浅くなる傾向がある。

・距離程720〜750mにかけては、深度5〜20m付近で反射波の水平方向の連続性がとぎれ、この範囲の反射波の区間速度は周囲より遅い傾向がある。

・距離程760mよりも終点側の深度10m以深には、水平方向に連続する反射面が存在しない。このことは深度10m以深の地質状況が距離程760mの左右で大きく異なっていることを意味すると考えられる

・以上の点からみて、この測線上の距離程750m付近には、何らかの地質構造の不連続が存在する可能性が高いと考えられる。他にも不連続がある可能性は否定できないが、判断は難しい。