1−4−2 大分川右岸(浅部反射法探査)

図1−4−2−1に反射法探査の結果(上段に時間断面、下段に深度断面図)を、図1−4−2−2に速度解析に基づくS波速度断面図を示す。

図1−4−2−1に示すように、250〜450msec(標高−20〜−45m付近)間に比較的明瞭な反射面が2枚確認できる。この反射面より浅部では、S波速度は、240m/sec以下で、深部では、310m/sec以上である。既往の反射断面での速度構造との対比からみて、浅部は、完新統ないし後期更新統(段丘構成層相当)に、深部は、更新統の大分層群・碩南層群に相当すると推定される。また、より細かくみると、反射面の浅部は、より表層のS波速度190m/sec以下の部分と、や深いS波速度220〜240m/secの部分に区分される。おそらく、前者が海成の完新統に、後者が、完新統下部の砂礫ないし後期更新統(段丘構成層相当)に相当すると考えられる。

距離程2,380〜2,500m区間では、これらの反射面が下方へ凹型の形状を示す。この構造の南端にあたる距離程2,500m付近では、反射面が北側へ落ち込む形状が明瞭であることに加えて、反射面の位相が変化しており、図1−4−2−2のS波速度断面においても距離程2,440m付近(CDP320)付近を境としてS波速度の変化が見られる。以上の点からみて、距離程2,500m付近には、北落ちの断層が存在すると推定される。一方、北端(距離程2,380m付近)の構造も、南端ほどは明瞭でないが、南落ちの断層であり、全体としてグラーベン構造を成していると考えられる。これは、深部反射法探査(4−1節参照)と中深部反射法探査(報告書第3編参照)で断層が推定された位置におおむね一致している。

上記の明瞭な反射面の浅部にも、不明瞭ではあるが数条の反射面を確認できる。これらの反射面は北側に緩く傾斜する形状を示す。このうち、距離程2,500〜2,700m間で110〜210msec(標高−7〜−20m)付近にみられる反射面より深部のものは、距離程2,500m付近の断層による変位を受けていると解釈される(第2編の「総合解析」で述べるように、この反射面は、ボーリング調査結果からみて、K−Ah火山灰層に対比される)。