3−3 海域の活断層群全体の評価

島崎ほか(2000)を参考にしてまとめると、海域の断層群は、全体として次のように評価できる(図3−1参照)。

○断層分布および性格

・異なる走向の断層が存在する。これは、異なる横ずれ成分を有し、かつ活動イベントが異なる断層の存在を示唆する。Hatanaka and Shimazaki(1988)は、大分県中部地震の起震メカニズムの分析結果から、このような複数の性格の断層同士の間では、地震時のsub−eventが異なる可能性があると指摘している。

・日出沖断層群は、断層の分布形状や深部構造からみて、別府湾中央断層系(北側境界、南落ち)を主断層として派生した断層(リストリック断層)と考えられる。同様に、大在沖断層群についても、湾南縁付近の未確認の断層(北落ち?)を主断層とするリストリック断層の可能性が考えられる。

○断層の活動性

・別府湾中央断層系、日出沖断層群、大在沖断層群については、活動イベントを具体的に評価できる。

・全体に活動性が高く、ほとんどの断層がK−Ah火山灰以後も活動している。K−Ah火山灰の変位量からみた活動度はB級以上である。

・特に別府湾中央断層の活動性が高く、A級の活断層と評価できる。

・活動間隔は、数100年から2,000年程度である。

・日出沖断層群のような派生的な断層同士の間では、活動イベントに相補性があり、別府湾中央断層は、主断層として、これらを総括するような活動をしている可能性が考えられる(図3−5参照)。

・杵築沖断層群については、活動性評価のためのデータが得られていない。これは将来の検討課題である。

図3−5  海域の活断層の活動イベントの対比