3−2−5 ウェッジ堆積物法による断層イベントの解析

既往のソノプローブ音波探査結果によると、断層の沈降側に断層面にせき止められる形で堆積したとみられるウェッジ堆積物が、強い反射を示して認められることが多い。今回の調査でも、断層の相対的下盤側(陸側;南側)に2つのウェッジ堆積物が認められる(図2−3参照)。

この堆積物は、断層活動により生じた海底断層崖を、より浅い水深の海底からもたらされた堆積物が埋積したイベント堆積物であると考えられる。このため、その堆積年代を調査することで、断層の活動履歴を知ることができる。図3−13にウェッジ堆積物の堆積機構の模式図を示す。

本調査では、断層上で採取したBEP99−3,4からそれらのウェッジ堆積物層を認定し、それぞれの年代を測定した(図3−12参照)。

堆積物の分析結果から、BEP99−3ではウェッジ1層準を210cmのピーク、ウェッジ2層準を630cmのピークと認定した。各層準からの年代測定結果では、ウェッジ1層準の上下(150cmと300cm)で570yBP.及び870yBP.、ウェッジ2層準では640cmで2750yBPという結果が得られている。

BEP99−4ではウェッジ1層準を210cmのピーク、ウェッジ2層準を660cmのピークと認定した。各層準のからの年代測定結果では、ウェッジ1層準の219cmで830yBP.、ウェッジ2層準では675cm及び679cmで2470yBP.という結果が得られている。

これらウェッジ堆積物の年代測定結果から求められる断層の活動時期は、約800yBP.(暦年代1500年付近)と2000−2500yBP.とみられる。

図3−13 ウェッジ堆積物の概念図