(4)調査結果の評価

調査の一番の目的として分布を追跡した朝見川断層の延長部については、一部の音波探査記録および海底地形から断層位置を推定することしかできなかった。別府湾全域で実施されたソノプローブ音波探査記録(島崎他、2000)の一部でも今回の探査海域と重なる箇所があるが(図3−8)、やはり音波散乱にはばまれて明瞭な探査記録は得られていない。但し、幾つかの探査記録では沿岸の急崖部付近で反射面が大きく湾曲するものや不連続な形態を示すものがあり、断層の存在を推定することができる。推定断層の活動性については、探査記録が不明瞭であるため詳細を断定することはできないが、最表層に分布するA1層の乱れの差異から、断層の西側(別府市側)の方が東側(大分市側)活動的な状態にある可能性が考えられる。

明瞭に断層として認められた3条については、南側2条が相対的に北側が沈降した形態を呈しており、朝見川断層と同系統のものである可能性が高い。北側の一条は相対的に南側が沈降した形態を呈しており、朝見川断層等の断層と共役の関係にある可能性が考えられる。いずれの断層も反射面のずれに累積性があり(下位の反射面ほど変位量が大きい)、周期的な活動を伴う断層であると考えられる。

図3−8−1図3−8−2 ソノプローブ音波探査との対比図