(3)存在が推定される断層

別府から大分港の沿岸部では水深15m以浅の平坦面が形成され、急な斜面を介して沖合の水深60mの平坦面となり、地形的ギャップが認めらる。その斜面は仏崎沖合を中心に急崖を示す。

また、沖合から連続して反射面が追跡できるN8〜N10測線では、B層上面は沖合から沿岸部に向かって深くなり、海底地形が急斜面を示す付近で追跡できなくなる。これより沿岸部では、A層が直接E層を被い、沖合に分布するB層〜C層は欠如する。E層が沖合の海域のC層より深部に分布するものと仮定すると、この海底地形の急斜面を境に急激に分布深度が深くなると考えられる。

以上のことからこの急斜面の下の平坦面は、B層堆積時以降も沈降の環境にあると考えられ、相対的に北側が沈降した断層が推定される。この推定断層の位置は、別府市街南縁に位置する朝見川断層の延長部にあたる。

最も別府よりの測線であるN−15ではB層上面、およびC層上面の反射面が推定される断層付近で陸側に傾斜して、追跡できなくなり、その上位のA1層は、この付近で非常に乱れた堆積構造を示す。乱れた堆積構造が推定断層の活動によるものとすると、別府沿岸部ではA1層堆積時までの活動が推定される。一方、大分側のN−8測線ではA2層内のR−2、あるいは少なくともR−1には変形が認められないことから、過去に断層が活動したとしてもA2層上部の堆積完了以前の可能性がある。但し、いずれも沿岸部の音波散乱域付近の記録であるため、詳細は不明瞭である。