1−5−2 ピストンコアリングによる海上試料採取とその分析

ピストンコアリングによる海上試料採取は、大在沖断層群の活動性を評価することを目的として実施した。採取コアは計6本(総延長72m)で、うち4本について堆積物の分析作業を行った(残り2本のコアはリザーブサンプルとして保管)。

大在沖断層群では700−800yBPと2000−2500yBPの2回の明瞭な断層イベントを確認した。それぞれの相対的隆起側と沈降側の変位量は60cmと110cmとみられる。過去の調査結果にみられる別府湾中央断層の断層運動は約700yBP及び約2000yBPと推定されてい

るが、今回の調査で得られた大在沖断層群の活動年代は、地質学的にはこれと同時に動いたと評価することもできる。しかし、炭素14法で求められる活動年代値の誤差が非常に大きいものであることから、両者は全く同時に動いた可能性がある一方で、100年程度の間隔を持って動いた可能性も十分に考えられる。現状での年代測定の信頼性を考えると、それらを判定することは非常に困難であると言わざるを得ないが、年代測定数をある程度増やせばその誤差範囲を縮めることもできるものと考えられる。

これら2回の断層イベントの間隔は1200年以上(800yBPは、最新データベースに基づく補正曲線によって暦年代に直すと約AD1500年にあたる)である。このことから、調査を行った断層は、概略的には1000年程度以上の間隔を持って活動しているものと推定され、その最新活動時期は約500年前と考えられる。

上記の2回の断層イベント以前にも、アカホヤ火山灰層堆積までの間に3回程度の断層イベントが推定できるが、その存在は不明瞭である。