2−3−1 震源:バイブレーター(IVI−Y2400)

バイブレーターの構造とバイブレーター探査の原理を図11に示す。

起震を行う場合には,まず車体中央のプレートを地面に下ろし,これに車重の大部分(約13トン)をかけて地面に圧着する。この際,車体とプレートの間にはエア・ダンパーを挟んでいるため,鉛直な上載圧は加わるが震動は遮断される。

次に,プレート上のアクチュエイターでカウンターマス(3トン)を上下に揺すると,その反力がプレートを介して地面に伝わり地盤を震動させる。

使用したバイブレーターの諸元を次に示す。

・起震可能周波数範囲 4〜250Hz

・全長        8.16m

・全幅        2.46m

・全高        3.4m

・重量        17.7ton

バイブレーターを用いた探査(バイブロサイス)の原理は次の通りである。

a.バイブレーターで低い周波数から高い周波数まで徐々に周波数が遷移(スウィープ)する波形で起震する(図3−@)。なお発生する波の振幅は,速度振幅が一定となるように再帰的に制御する。

b.反射波は図3−B〜Dに示すように,ダイナマイトなどのパルス震源と異なり,震源波形(@)の初動時刻・振幅・位相をずらした波形となる。したがって観測波形は図3− Aに示すように,これらを重ね合わせた複雑な波形となる。

c.観測終了後,震源波形(@)と観測波形(A)の相互相関関数を計算する。この結果は図3− Eに示すように,ダイナマイトなどのパルス震源と等価な記録となる。

バイブロサイスの特徴としては,以下の点が上げられる。

a.起震エネルギーが大きく,深度3000m以上の探査が可能である。

b.低い出力のエネルギーを継続して出す震源機構のため,環境への影響が少ない。

c.起震周波数範囲を選択できるため,所望の周波数帯域の観測が可能である。

d.可搬性に優れており,作業効率が高い。ただし,やや車両のサイズが大きい(L=8.16m, W=2.45m)ため,進入できる道路が限られるのが問題である。