7−3−9 残された課題

別府−万年山断層帯における活断層の活動で生じる地震の近い将来における発生予測を、さらに確実なものとし、大分県における地震防災のための基礎資料とすることを想定すると、今回の調査終了段階では、まだ、次のような課題が残されている。

(1)別府地溝南縁断層帯の東方延長部の確認と活動性の把握、海域の大在沖断層群や別府湾断層帯との関係の把握(大分市東部地域の調査)

(2)別府地溝南縁断層帯、別府地溝北縁断層帯の西方延長部の確認と活動性の把握(崩平・万年山地域などの調査)

(3)中央構造線活断層系との関係の把握

(4)断層帯の深部構造の把握をそれにもとづく地震発生機構の解明

○別府地溝南縁断層帯 

湯布院町から別府市にかけて調査地域の南の端付近に分布する、由布院断層と堀田―朝見川断層、大分市内の沖積層下に伏在している府内断層から成る断層帯。

K−Ah火山灰以後、現在までに10〜30m程度北落ちに変位している。長さは、調査地域内で約29km。

府内断層では、最新活動時期は2,300年前頃(歴年代、以下同様)で、活動間隔が、1,100年〜3,300年。由布院・堀田−朝見川断層では、最新の活動時期は約2,000年前より後で、活動間隔は、1,000年〜2,000年程度と推定される。1回の活動における上下方向の変位量は、府内断層で4〜6mで、由布院・堀田−朝見川断層で、数m程度(1m以上)と推定される。

○別府地溝北縁断層帯

「別府地溝南縁断層帯」以外の陸域の断層群の総称。

K−Ah火山灰以後に活動した断層とそうでない断層が混在する。K−Ah火山灰以後の上下方向変位量は、最大で3m程度、一般に1m以下。長さは、調査地域内で約28km。

最新活動時期は、最も新しいものでは約2,000年BPより後、古いものでは、Aso−4火砕流堆積物(7万年〜9万年BP)以後活動していない。活動間隔は、短いものでは3,000年〜4,000年程度、長いものでは1万年〜数万年以上。1回の活動における上下方向変位量は、わかっているもので0.3〜2m程度。

○別府湾断層帯

別府湾中央断層を中心とする、日出沖断層群などの別府湾海域の断層群の総称。

ほとんどがK−Ah火山灰以後に活動している。K−Ah火山灰以後の上下方向変位量は、数m程度で、最大では40m以上に達する。長さは、調査地域内で約31km。

主な断層では、最新の活動は、西暦1,596年の慶長豊後地震にほぼ一致しており(14C歴年代で100〜500年前頃)、この地震の際に活動したと判断される。活動間隔は、1,200年〜3,100年です。1回の活動における上下方向変位量は、小さいもので2m以下、最大では10m以上と推定される。