7−1−6 <補論 : 朝見川地点での断層活動イベントの検討>

断層落ち側のボーリングコアでは、次のような層相変化がみられる。

@ 一次オーダーの変化(10m〜20m)

河川成礫層    後背湿地堆積物     河川成礫層

このオーダーの変化は、規模が大きすぎて、頻繁に挟在される泥層〜腐植土層の分布標高の変化から推定される同欠的な断層活動には対応しない。

A2次オーダーの変化(1〜3m、最大6m)

A−1.河川成礫層中の上方細粒化サイクル(砂礫→(砂)→腐植土)

A−2.後背湿地堆積物中に間欠的にはさまれる斜面崩壊堆積物

この2種類の層相変化パターンは比較的規則的にみられ、断層活動イベントを何らかの形で反映している可能性があると考えられる。

ただし、堆積物の側方堆積による河川流路の変化や降雨時の斜面崩壊等の可能性も否定できない。特に、現在の海水準付近より高い部分にみられるA−1のサイクルは他の層準のサイクルより規模が小さく、むしろ扇状地未端で分流する河川の流路の自然変化による可能性が高いと考えられる。

仮に、このような層相変化が断層活動イベントに対応しているとすると、次のようなイベントが読みとれることになる。

1,275〜2,105年BP間(830年間)に1〜2回

2,105〜6,395年BP間(4,290年間)に3〜4回

6,395〜7,300年BP間(K−Ah火山灰)間(905年間)に1回

1,000年オーダーの活動間隔で、1回あたり1〜3m(最大6m)程度の上下方向変位を伴う断層活動が生じてきたと推定される。