(4)坂山断層

秋山溶岩(70万年BP)上に、南落ちで比高が約70mとかなり大きい断層崖がみられる。トレンチ地点での断層崖の比高は20m程度である。トレンチでは、約6万年BPと推定される軽石質火山灰が落ち側の地表下1m程度の浅い位置に出現し、A、Bと同様の石質火砕流堆積物と接している。秋山北断層では、同じ火山灰層が地表下3m以上の深度に出現することと比較すると、1回の変位量が数10pオーダーで同程度とするならば、活動間隔は数万年オーダーとかなり長いと推定される。

断層部では、4,400年BPという14C年代値が得られた表層の黒ボク土層(K−Ah火山灰を挟まない)の下位層が、開口亀裂に沿ってクサビ状に下方に落ち込んでいる。この亀裂が本断層の活動によって生じたとすると、最新活動時期は、4,400年BP以前で、かつ、K−Ah火山灰との関係からみて、6,300年BPより後と推定される。しかしながら、亀裂の成因については斜面変動や、他地域の地震によるゆれなどの要因も考えられるので、この推定は確実なものではない。古い火山体の変位からみると活動度はB級下限程度になるが、少なくとも最近数万年の活動度はC級以下である。