(5)堀田−朝見川断層

古い火山噴出物(由布川火砕流堆積物:60万年BP)が285m程北落ちに変位している(竹村・壇原,1993)。

鶴見岳の最新の溶岩流が変位を受けていることからみて、最新活動時期は、1,600年BP以後と判断され(溶岩流下位の土石流堆積物の年代からの推定)、小林(1984)の溶岩流の年代推定にもとづくと、8世紀以後の歴史時代の可能性もある。

堀田地区のボーリング調査結果からみると、K−Ah火山灰以後に20〜30m程度北落ちの変位を生じたと推定される。

朝見地区のボーリングでは、断層の落ち側で河川成の礫質堆積物と離水現象を示すと推定される腐植土(旧表土)が繰り返し出現しており、かつ、腐植土層の現在の標高は、大部分が海面下であること、湿地性の堆積物である泥炭層の中に斜面崩壊堆積物が挟まっていることが確認された。これらの現象から、この地域では、K−Ah火山灰以後に、間欠的な断層活動を生じた可能性があると推定される。

また、K−Ah火山灰層とその直上の旧表土が、現在標高−22〜−23m付近に出現することから、この地点では、K−Ah火山灰以後に、少なくとも約16〜17m北落ちの変位を生じたと推定される。

K−Ah火山灰層の変位量からみた、上下方向の平均変位速度は、2.2〜4.2m/千年と評価される。活動度は、A級である。