6−2−3 大分川左岸測線での地層対比によるイベント解析

ボーリング調査結果(図6−2−4)から、断層の活動イベントと変位量が次のように推定される。

イベントm−T : 安山岩質砂礫層下限(対比線A´)以後である。No.1孔で、砂礫層中の泥層が、断層変位を受けていることから、この泥層以後にイベントが生じたと推定される。この泥層は、補正年代2,390(暦年代2,360)年BP、2,240(2,320)年BPの年代値を示すから、イベントの時期は、2,300年BP頃より後と判断される(図6−2−4中央の図)。これは、府内城測線での推定されたイベントTの年代と整合的である。変位量は、4.4m程度と推定される。

イベントm−2 : 府内城測線と同様に、断層落ち側の海水準より深い位置での泥炭層(下位)から砂礫層(上位)への急激な層相変化が断層活動イベントに対応しているとすると、上部砂礫層中の砂礫層下限(泥炭層上限)にイベントが推定される。府内城測線と同様に考えると、砂礫層下位の粘土の年代が、補正年代5,030(暦年代5,740)年BPであることから、砂礫層下限の形成年代をイベントの年代として推定すると、府内城測線でのイベントUの年代(5,600年BP頃)とほぼ一致する。変位量は、 4.4m以上と推定される。

このほか、No.1孔のK−Ah火山灰層直上の他ではみられない砂層が存在することも、断層活動に伴う現象である可能性がある(K−Ah火山灰降下直後のイベントm−V?)。ただし、No.2−No.3間では、この現象に対応する上下方向の変位は確認できないので、他の位置の断層が活動したと考えることになる。

府内城測線での推定に比べると、地層対比の精度が落ちるため、いずれのイベントも、確実性はやや低い。現段階では、これ以上詳細な解析はできないが、K−Ah火山灰以後の総変位量、推定活動時期共に、府内城測線での解析結果と整合的であるといえる。