(1)総括的な解釈

1)反射面の特徴 (図5−1−48参照)

a.基盤(大分層群)上面とみられる反射面は、各反射断面で最も明瞭で連続性がよい。

b.大分川左岸測線では、基盤中の層理面に対応する反射面も確認できる。

c.沖積層は、断層で乱されていない場合には、反射面の特徴から次のように区分できる(地層区分については、5−2節を参照)。

・下部の砂礫層(砂層、泥炭層を挟む)に相当する部分では、連続性のよい、水平に近い反射面が明瞭。

・その上位の(下部)砂層・(中部)泥層中にも、水平に近い反射面がみられるが、上記の砂礫層に比べると、面の連続性はよくない。下部砂層上面やK−Ah火山灰層に対応する反射面がみられることもある。

・春日神社測線と府内城測線では、上部砂層に相当する部分に前進する三角州のフォアセット構造を示す、海側へ傾斜した反射面がみられる。大分川左岸と芸術会館付近では、連続性のよくない水平に近い反射面がみられるが、フォアセット構造は認定し難い。

・上部砂礫層に相当する部分では、水平に近い反射面がみられる。この層の下限に相当する反射面は、比較的明瞭である。

・大分川左岸や芸術会館付近では、最上位に、堤防盛土や河川の埋土の下限に相当するとみられる連続性のよい反射面がみられる。

2)速度構造の特徴

a.大分川左岸で確認できた、基盤(大分層群)のP波速度は、3.0km/sec程度。 

b.沖積層中の速度は、P波で1.8km/sec程度(大分川左岸)、S波で0.2km/sec前後である。下部砂層や中部泥層でやや速度が小さくなる傾向がある。

3)断層の認定 

上に述べた沖積層中からの特徴的な反射面が不連続になることや反対面の変形、2枚の反射面に挟まれた地層の層厚の変化などから、地層を変位させている断層の存在とその位置が認定できる。

府内城付近と大分川左岸、芸術会館付近では、明瞭な断層が確認できる。春日神社付近でも、断層の存在を示す反射面の変形や地層の層厚変化がみられるが、他の測線に比べると、地層の変形や層厚変化は小さい。

断層の形態は、大局的には、いずれも北落ちである。芸術会館付近を除き、複数の断層によってグラーベン状の構造が形成されている。

認定された断層付近の反射面の変形から、各断層面に沿った変位の向きが推定できる場合もある。