(6)芸術会館測線

芸術会館測線は、測線距離200m付近で交通量の多い道路を横切る。最初はこの道路より北側の約200mの探査を実施し、その結果をふまえて、道路より南側の測線の追加が決定された。追加測線実施にあたっては、なるべく南北の断面がつながるよう、道路をはさんで起振、受振する記録も取得した。

図5−1−40−1図5−1−40−2に相互相関処理後のオリジナル波形例を起振点70m毎に示す。本測線におけるバイブレータの発振スイープは、15〜160Hzとした。図5−1−41−1図5−1−41−2にフィルター処理後波形例を示す。バンドパスフィルターでは20〜90Hzを通過周波数帯とし、AGCのオペレータ長は250msとした。図5−1−42にデコンボリューションパラメータテスト(オペレータ長を10,25,100msと変更)結果例、図5−1−43−1図5−1−43−2にはデコンボリューション処理結果例を示す。デコンボリューションのオペレータ長は25msとした。図5−1−40−1図5−1−40−2のスタック前の波形例を観察すると、起振点0〜180m付近の記録では、往復走時250〜300msとなる反射波が大変顕著である。一方、起振点270m以降では、往復走時が200ms程度となる反射波が顕著となる。本測線においては、この顕著な反射波よりも下位にも反射波を認めることができるが、S/Nが十分でなく、その見かけ速度を求めることも難しい。

図5−1−44には速度解析結果より求めた区間速度分布を示す。図5−1−45には速度解析結果よりCDP重合を行った結果である時間断面を示す。時間断面を観察すると、重合前に見られていた顕著な反射波が連続性の良い反射波列として現れている。この反射波は、測線距離220m付近で大きく変位している。この位置は道路交差点のため欠測点の多いところではあるが、取得できている反射波の顕著さなどより、この反射波の変位がこの欠測によるものとは考えにくく、地層の分布の状況を反映するものと考えられる。

図5−1−46には、マイグレーション後時間断面を示す。マイグレーションには、速度解析で求めた速度テーブルを用いた。マイグレーション処理後の結果においては、断面の両端などに実際の反射面の分布を反映していないひずみが生じているため、この測線の解釈には主にマイグレーション処理を施していない時間断面を用いた。

図5−1−47には、時間断面に深度変換を施した結果(深度断面)を示す。深度変換には、図5−1−44に示した速度テーブルを平滑化して用いた。